サッカーはオフザボールで9割決まる!?サッカーはボールを持っていないときが超重要!
サッカーは「ボールを蹴るスポーツ」と思っていませんか? 確かにそうなんですが、実はそれは表面的な話。本当にサッカーが上手い選手、チームというのは、ボールを持っていない時間にこそ、その真価を発揮します。この「ボールを持っていない時の動き」を、私たちはオフザボールと呼びます。
ボールを持っていない時、あなたは何をすればいいのか?
考えてみてください。90分間の試合中、一人の選手がボールに触っている時間は、わずか数分と言われています。残りの80分以上、選手はボールに触っていません。つまり、オフザボールの時間が圧倒的に長いわけです。この長い時間を、ただ突っ立って見ているのか、それとも次のプレーのために動いているのか? ここに、サッカーのレベルの差が生まれます。
では、具体的にボールを持っていない時、何を考え、どう動けばいいのでしょうか? 大きく分けて2つのことを意識してください。
1. 攻撃時:常に「次のプレー」の選択肢を増やす
攻撃においてオフザボールは、ボールを持っている選手を助け、チームとして得点を奪うための準備です。
- スペースを見つける・作り出す: 相手DFが手薄な場所、つまり「スペース」を常に探しましょう。もしスペースがないなら、自分が動くことで相手DFを引きつけ、別の場所にスペースを作り出すこともできます。例えば、サイドに大きく開いてDFを広げれば、中央に味方が飛び込むスペースが生まれるかもしれません。
- パスコースを作る: ボールを持っている味方がパスを出せるように、パスコースを確保する動きです。相手DFとDFの間にポジションを取ったり、マークを外してフリーになったりすることで、味方が安心してパスを出せる場所を提供します。斜めや縦の動きを意識すると、相手DFはマークしづらくなります。
- 受け手の準備をする: パスが来ることを予測し、トラップしやすい体勢や、次のプレーにスムーズに移行できる準備をします。周りを見て、次に自分がボールを受けたら何をするか、パスを受ける前からイメージしておくことが重要です。
- おとりになる: ボールとは逆サイドで大きく開いたり、ディフェンスラインの裏を狙う動きをしたりして、相手DFの意識を引きつけます。自分がボールをもらえなくても、味方のフリーランニングを助けることができます。
- ゴールへの意識: 最終的にはゴールを奪うことが目的です。常にゴール方向を意識し、シュートチャンスに絡めるポジションを取ることを考えましょう。ワンタッチでシュートを打てる体勢を作ったり、こぼれ球に反応できる位置にいたりすることも大切です。
2. 守備時:相手の攻撃を遅らせ、ボールを奪い返す
守備においてオフザボールは、相手に自由なプレーをさせず、ボールを奪い返すための布石です。
- マークの確認: 自分のマークすべき相手選手がどこにいるのか、常に確認しましょう。特に危険な選手、パスを受けそうな選手は厳しくマークし、自由にプレーさせないことが重要です。
- 危険なスペースを消す: 相手にパスを出されたくない場所、特にゴールに近いエリアや、相手が突破しやすいスペースを埋める動きをします。相手がパスを出しても、そこに味方選手がいれば簡単にボールを奪うことができます。
- パスコースを限定する: 相手のパスコースを読んで、そこに立つことでパスを出させないようにします。相手がボールを動かす選択肢を減らすことで、次の動きを予測しやすくなります。
- 体を寄せる・プレッシャーをかける準備: ボールを持っている相手選手に対して、いつプレスをかけられるか、体を寄せられるかを常に意識します。すぐに距離を詰めてプレッシャーをかけられる位置にいることが大切です。
- インターセプトを狙う: 相手のパスコースを予測し、その間に割り込んでボールを奪うことを狙います。そのためには、相手の動きやパスの質を予測する洞察力が必要です。
オフザボールの良い動きができると、なぜ「得」をするのか?
オフザボールの動きを意識するだけで、あなたのサッカー人生は劇的に変わります。なぜなら、オフザボールの動きが良い選手、チームは、様々な面で「得」をするからです。
1. チーム全体がスムーズに機能する
オフザボールの動きは、まるでオーケストラのようです。一人ひとりの選手が適切なタイミングで動くことで、チーム全体が調和し、よりスムーズに機能します。ボールを持っている選手は、常に複数のパスコースやドリブルコースを見つけることができ、選択肢が広がることで自信を持ってプレーできます。相手は誰をマークすればいいのか分からなくなり、組織的な守備が困難になります。結果として、パスは繋がりやすくなり、攻撃は活性化し、守備は安定します。
2. 体力消耗を抑え、効率的なプレーが可能になる
「オフザボールで走る」と聞くと、疲れると思うかもしれません。しかし、実はその逆です。無駄な動きを減らし、効率的な動きをすることで、体力消耗を抑えることができます。闇雲に走るのではなく、目的意識を持って賢く走ることで、本当に必要な時にエネルギーを温存できます。例えば、相手のパスコースを予測して数歩動くだけで、相手の攻撃を止めることができれば、全力で追いかける必要はありません。
3. 相手にとって非常に「嫌な選手」になる
常に適切なポジションを取り、パスコースを作り、また守備では相手の自由を奪うオフザボールの動きができる選手は、相手にとって非常にやりにくい存在です。どこから来るのか予測できず、常にプレッシャーを感じさせるため、相手はミスを誘発されやすくなります。これは、相手DFからすれば「マークしきれない」「どこに注意すればいいかわからない」という状況を生み出し、攻撃的な選手にとっては「常に脅威を与えられる」ことになります。
4. 状況判断能力が飛躍的に向上する
オフザボールの動きは、常に周りの状況を把握し、次のプレーを予測する「状況判断能力」を養います。ボールを持っていないからこそ、フィールド全体を俯瞰し、味方や相手の配置、スペースの有無、そして時間やスコアといった様々な要素を考慮して、最適な動きを瞬時に判断する力が磨かれます。これはサッカーだけでなく、日常生活における問題解決能力にも繋がる、非常に重要なスキルです。
5. プレーの「質」が格段に上がる
オフザボールの動きが洗練されると、ボールを持った時のプレーの質も向上します。なぜなら、ボールを受ける前から次のプレーをイメージできているため、ファーストタッチやパス、ドリブルといった基本的な技術もよりスムーズかつ効果的に発揮できるようになるからです。例えば、パスを受ける前に周りの状況を把握していれば、ファーストタッチで相手をかわしたり、すぐに次のパスを出したりすることができます。
6. ゴールチャンスが増える
オフザボールの動きは、直接的にゴールに結びつくことも多々あります。相手DFの裏への飛び出し、ゴール前でのフリーランニング、こぼれ球への反応など、ゴールを奪うための決定的な瞬間の多くは、オフザボールでの準備によって生まれます。実際に得点を決める選手は、ボールを持っている時だけでなく、オフザボールでの駆け引きが非常に上手いことが多いです。
オフザボールの重要性:なぜ9割が決まるのか?
私が「オフザボールで9割が決まる」と断言するのは、以下の理由からです。
サッカーは、ボールを巡る攻防であると同時に、スペースを巡る攻防でもあります。良い選手、良いチームは、常に相手よりも先にスペースを見つけ、そこに入り込み、あるいは作り出すことで優位に立ちます。このスペースの奪い合いこそ、オフザボールで行われているのです。
ボールを持っている選手は、目の前のボールと相手に集中せざるを得ません。しかし、ボールを持っていない選手は、全体を見渡し、次に何が起こるかを予測し、先手を打って動くことができます。この「先手」こそが、サッカーにおける大きなアドバンテージとなります。
今日からできる、オフザボール意識改革
「でも、プロじゃないし…」と思う必要はありません。オフザボールの意識は、どんなレベルの選手でも、今日からすぐに取り入れることができます。
- 首を振る習慣をつける: ボールをもらう前、ボールをもらった後、常に周りを見てください。味方の位置、相手の位置、スペースの有無を把握する。これが全ての始まりです。
- 目的意識を持って動く: 「なんとなく」で動くのをやめましょう。「パスコースを作ろう」「相手を引っ張ろう」「スペースを埋めよう」など、常に動く理由を明確にしてください。
- 予測する: ボールがどこに行くか、味方は次に何をするか、相手はどこに動くか。常に予測をしながら、それに合わせて自分の動きを修正する練習をしましょう。
- 止まらない: ボールが遠くにある時でも、常に次のプレーに備えて動き続ける習慣をつけましょう。少しの動きが、大きな違いを生み出すことがあります。
- 声を出す: オフザボールでの動きは、声でのコミュニケーションと連動するとさらに効果的です。「〇〇!」とパスを要求したり、「行け!」と味方を鼓舞したりする声は、チーム全体の動きを活性化させます。
最後に:あなたも「見えないヒーロー」になれる!
サッカーは、ゴールを決める選手やアシストする選手が脚光を浴びがちですが、その陰には必ず、オフザボールでチームを支える「見えないヒーロー」がいます。彼らの献身的な動きがあるからこそ、チームは機能し、得点が生まれるのです。
オフザボールの重要性を理解し、実践することは、あなたのサッカーを次のレベルへと引き上げるだけでなく、チームにとってかけがえのない存在になるための鍵です。ボールを持っていない時こそ、あなたの真価が問われます。さあ、今日からオフザボールの意識を変え、ピッチ上で輝く「見えないヒーロー」を目指しましょう!